採用手法とトレンド

採用担当者のためのコラム1回目は、採用手法とそのトレンドについて解説していきます。
市場のや環境の変化により、採用方法の見直しに迫らられている企業は多いかと思います。
また、採用の手法も増え、ただでさえ忙しい人事担当者の方は手が付けられない状態の方も多いかと思います。

今回は、採用の手法のトレンドとその選定ポイントを解説するために、採用の基本的な事柄から、時代背景や、欲しい人材像についての定義などの簡単なご説明から入ります。
それを踏まえ採用手法のトレンドの紹介と、選定方法についてという流れになります。
内容的に、既に十分ご理解いただいている項目もあるかと思いますので、目次から必要な項目に飛んでご確認いただければ幸いです。

目次

採用の基礎知識と現代のトレンド

現代の採用環境はテクノロジーの進化と社会情勢の変化など外部環境の変化に合わせて、大きな変化がおきています。
成果をを出すために、新たな採用手法やトレンドについての情報収集を望んでいる採用担当者も多いかと思います。
また、「自社ではどの採用手法が最適なのか?」と悩んでいる担当者の方々へ、適切な採用手法を選ぶためのポイントについても紹介します。
それらの情報が採用戦略を練る上での参考になれば幸いです。

採用トレンドとは何か?

採用トレンドとは、時代や社会の変化に伴い人材採用における慣行や方法論が変わること、やその方向性やパターンを指します。

採用は、社会情勢、技術革新、労働市場の状況、求職者の価値観等様々な影響を受けまが、これらの変化にあわせ
・どのような人材をどのように採用するか?
・どのような方法論で採用活動をするか?
・上記2点の重視するポイント
も変化してきます。
これらの変化やその方向性をまとめて「採用トレンド」と呼びます。

この採用トレンドに適応していくことで、効果的な採用戦略を立てることが可能になり、最適な人材を獲得できる可能性が上がります。
また、トレンドを先取りすることで、採用市場での競争優位性を保つ効果も期待できます。

・採用市場は常に変化しており、それに応じて採用手法や採用基準も変化すること
・採用市場の動向を捉え、自社の採用活動に活かすこと

という点をふまえ、採用手法のトレンドについて解説していきます。

採用におけるトレンドの変化の背景

組織の必要な人材を確保と成長を支えるために、採用の方法は時代とともに変化しています。
それは、新卒採用、中途採用の両方に言えることです。
例えば、大規模な募集団を形成して行う従来型の採用手法から、現在では「ダイレクトリクルーティング」などピンポイントな採用手法まで多様化しています。
人事担当は組織のニーズと市場の動向を見極め、最適な採用手法を選ぶことが求められますので、どれか一つの方法を行うのではなく様々なパターンを組み合わせて取り組んでいるのが現状です。

それでは、現在の採用トレンドを探るためにその背景をみていきましょう。

コロナ禍による採用市場の変動(採用手法の変化の背景①)

新型コロナウイルスの影響により、採用市場にも大きな変化が起きました。
特にリモートワークの導入やデジタル採用活動の増加など、新たな採用の形が浮上していることが特徴的です。

なかなか進まなかった働き方改革も、コロナ禍の影響で半強制的に在宅ワークが取り入れられ急速にひろがりました。
労働生産性向上を目指し在宅ワークを推進するはずが、在宅ワークを経験しその良さに気づくという逆の流れで浸透したということです。
この現象によって組織の在り方や評価の基準を、在宅ワークに後付けで対応していく必要性が出てきます。

例えば評価の基準は、「いかに皆にわかりやすく働いているように見えたか?」ではなく、「どれくらい成果をだしたか?」と変化していきます。
リモートで働いている以上、仕事の様子を監視するのは手間考えると難しく、成果(結果)で判断するという方向に自然と進んでいく事が予測されます。
プロセス評価から、成果主義になれば必要な人材の質にも変化がでてきます。

こういった背景から、DX(デジタルトランスフォーメーション)化が加速し組織的にも変化が訪れるでしょう。

有効求人倍率の変化とその影響(採用手法の変化の背景②)

有効求人倍率は、求人数と求職者数の比率を表す指標です。
有効求人倍率が高いほど、求職者1人当たりの求人数が多く採用難易度が高くなります。

厚生労働省によると、2022年の平均の有効求人倍率は前年より0.15ポイント上昇し、1.28倍でした。
2017年から2019年までの有効求人倍率は、1.50~1.60倍前後で推移していたこのでそれに比べるとまだ低い水準といえます。
景気は回復傾向が見られ、それに伴い今後有効求人倍率も上昇していくと予測されています。

●有効求人倍率の変化とその影響を示す実例

・2008年のリーマンショック後、有効求人倍率は低下。これは、経済不況の影響で企業が採用を控えたためです。
・2012年以降、有効求人倍率は上昇。これは、経済が回復し、企業が積極的に採用を行うようになったためです。
・2020年有効求人倍率は新型コロナウイルス感染症の影響で低下。これは、企業が業績悪化に陥り、採用を控えたためです。

このように、有効求人倍率の変化は採用戦略に少なくない影響を及ぼします。
倍率の上昇に伴い、求職者の選択肢は増えるため、企業としてはより魅力的な条件や環境を提供しなければなりません。
人事担当者は市場の動向を注視しつつ、柔軟な採用戦略を組むことが求められます。

少子高齢化に伴う労働力人口の減少とその影響(採用手法の変化の背景③)

日本は少子高齢化の進行によって、労働力人口が減少傾向にあります。
総務省の報告によれば15歳から64歳までの生産年齢人口は、1995年をピークに減少し
・2020年 7,341万人
・2025年 7,085万人
と256万人減少する見込みと発表しています。

コロナ禍の影響下では、有効求人倍率は下がり買い手市場の傾向がありましたが、景気回復にプラスして長期的な視点に立つと労働力の不足が懸念されます。
この状況に対応するために、働き方の多様化や新たな人材獲得の手法を探ることが求められています。
人事担当者はは市場の動向を把握し、社会の変化に柔軟に対応した採用戦略を立てることが求められています。

テクノロジーの進化とオンライン化の加速(採用手法の変化の背景④)

テクノロジーの進化とオンライン化の加速は、採用手法の変化に大きな影響を与えています。
新型コロナウイルスの拡大を受けて、リモートワークが一般的になってことによりオンライン化は加速しました。

最近では、今までは対面で実施されていた説明会や面接などをオンラインで行う企業は珍しくありません。
採用活動のオンライン化の導入例は
・求人サイトやSNSを活用した採用活動の増加
・オンライン面接の導入
・オンラインテストの導入
・ビデオ面接の導入

などがあり、以下のメリットがあげられます。

・募集側と応募者双方に時間や費用の削減
・遠方の人材ともコンタクトが取れる点

一方で対面よりもオンラインでは
・応募者の性格が読み取りにくい
・応募者が気軽に多くの選考に参加できるようになり、優秀な人材に内定者の入職率が低い
等の課題も上がっています。

どちらにしても、インターネットやスマートフォンの普及がすすみ多くの求職者にリーチできるようになりました。
それにより採用側は、採用活動をより効果的に行うことができます。
新しい採用の形を模索し、多様な人材獲得のチャンスを広げることが可能になった環境の活用と、新たな採用戦略練り直しが必要となっています。

参照元データ
厚生労働省一般職業紹介状況
総務省「総務省の「令和4年版情報通信白書」

優秀な人材の採用とその条件

優秀な人材とはなにか?

優秀な人材とはその企業や組織の目指す方向性に合致し、持続的に高いパフォーマンスを発揮できる個人を指します。
優秀な人材の採用には、企業のビジョンや価値観を共有しそれに基づいた評価軸で選考を行うことが必要です。

優秀な人材と一言で言っても、その定義は企業によっても現場や部署によって大きく異なります。
事業の方向性、組織文化、求めるスキルセットなど、企業独自の要素が影響します。

一般的には、
・問題解決能力、
・リーダーシップ、
・コミュニケーション能力、
・専門知識
などがあげられますが、その中でも組織ごとの価値観やビジョンに基づいた評価軸が必要となります。

優秀な人材の定義は企業ごとに異なりますが、共通していえるのはその人材が企業のビジョンを共有し、目標達成に向けて高いパフォーマンスを持続的に発揮できることです。
人事担当者は、そのために必要な特性やスキルを明確に定義し、それを採用の評価軸に据えて採用活動をすることが求められてます。

採用時のミスマッチの回避法

ミスマッチとは?

採用時のミスマッチは、企業と求職者の期待値が一致しないことでおこります。
それは、持っているイメージや期待と現実のギャップが原因です。
そのため、
・採用プロセスでいかに具体的な仕事イメージを伝えるか
・組織の文化の中で無理なく業務を行える人物か(適正)の評価

の両面が必要になります。

採用時のミスマッチが起きる原因

【原因①】求人情報の開示量が少ない:
【対策①】
求人票に詳細な情報を記載することで、応募者は企業の求めている人物像を理解し、自らの志向や能力と合うかどうかの判断することができます。
採用側や、社内ではあたりまえのことでも、外部の人にはあたりまえでないことは意外と多いものです。
誰にでもわかるように、詳細に丁寧な情報提供を心がけることで、働く前のイメージと、就職後のギャップが防げます。
また、詳細な情報開示とは、動画であったり画像であったりと様々な手法で伝えることが、求職者の理解を促すことにつながります。
メリットだけではなく、デメリットも伝えるという意識も大切です。(媒体などの掲載スペースに制限がある場合は、工夫が必要です。)

【原因②】求職者の特性がマッチしない。
【対策②】
採用プロセスの各段階で候補者のスキル、適性、価値観を評価し、それが組織のニーズや文化とマッチするかを確認することが必要です。
例えば、
・書類選考:候補者のスキルと経験を評価。
・面接:候補者の性格、価値観、動機などの理解。それが企業の文化やビジョンとマッチするかを確認。
・実際の仕事の状況をシミュレートしたケーススタディやロールプレイを導入:候補者がその役割でどのようにパフォーマンスを発揮するかを評価。
等のやり方がります。
どう言ったミスマッチが起きているかを理解しながら、その対策を採用プロセスに落とし込んでいく事が重要です。

その他、入社確定した内定者をフォローするなど、問題が大きくなりう前に相談できるような関係づくりも離職数の減少に効果的です。
ミスマッチが起こると、早期離職や生産性の低下など、企業に様々な問題を引き起こしますので対策をしっかり立てていきましょう。

人材採用の新たなトレンドとその条件

人材採用の新たなトレンドとして、技術の活用、ダイバーシティ・インクルージョンの推進、遠隔作業に適応した採用、候補者の体験を重視した採用戦略などが挙げられます。
具体的な手法に関しては、この後解説していきますが、
「人材の多様性(=ダイバーシティ)を認め、受け入れて活かすこと(=インクルージョン)」を推進するために、AIなどの新しい技術を採用プロセスにも取り入れ、より多様な背景を持つ候補者を対象に、新しい評価基準の設定などが求められます。

採用手法の種類とその特性

  従来の一般的な採用手法

求人サイト

求人サイトとは、企業が求人を掲載し、求職者が求職活動を行うことができるWebサイトです。
新卒採用、中途採用のどちらにも活用できます。
求職者が希望の勤務地や職種、収入などを指定し、保有者するスキルや経験などを入力することで、条件に合う求人を検索することが可能です。
求人サイトには、
・総合求人サイト:幅広い職種の求人を掲載
・専門求人サイト:特定の職種の求人を掲載
等の種類があります。
現在では多くの求人サイトにスカウト機能やメッセージ送信機能があるため、企業から求職者へのアプローチにも活用できます。

★メリット:
・数万〜数百万人求職者が自ら転職サイトに登録して職を探しているため、転職活動に積極的な人材の目にとまりやすい。母集団形成しやすい。
・複数名採用しても掲載料金は一定。(成果報酬型は除く)
・採用にかかる時間と手間を短縮できる。
・スカウトメールなどで、企業から直接アプローチできることもある。

×デメリット:
・採用数が0人でも掲載料金を支払う必要がある。(成果報酬型は除く)
・掲載社数が多いため、他社の情報に埋もれてしまう可能性がある。
・上位表示させるためには、オプション料金を支払う必要がある。
・求職者の質がまちまち。

求人の掲載は有料で、料金プランに応じて掲載順位が変わることが多いため、効果を高めるためには料金の高いプランを選ばなければならない可能性があります。
また通常、掲載まで1~2週間程度かかることにも注意しましょう。

求人サイトを活用することで、より多くの求職者にリーチし、より優秀な人材を採用することができることは確かです。
上記のデメリットの対策を必ず準備して、掲載に臨みましょう!

就職・転職イベント

複数の企業が、それぞれのブースで説明会を開くイベントで、合同企業説明会(新卒)や企業説明会・転職フェア(中途)などがこれに当たます。

★メリット
・求職者と直接コミュニケーションをとれる。
・アプローチできる人材の幅を広い。

×デメリット
・準備、実施両面の手間が大きく、スタッフへの負担が大きい。
・企業が多く出展するため、求職者の目を引くような工夫が必要。
・ターゲットとする求職者以外の方への対応も求められる。

就職・転職イベントの最大の良さは、企業も求職者も直接アピールする機会を得られる点です。
生の声を聞けるという点を、様々な採用いシーンでも活かしていきましょう。

人材紹介

人材紹介とは、企業と求職者をマッチングさせるサービスです。
人材紹介会社は、企業の求人情報や希望の人材の情報をもとに、求職者の中から条件に合った人材を探し企業に紹介するサービスです。
近年は、新卒採用でも使われることがありますが、主に中途採用で利用されています。
料金は成果報酬型であることが多く、採用人材の年収に応じた報酬が発生する為費用は高い傾向になります。
このサービスも、多くの職種を扱う「総合型」と、特定のスキルを専門とする「特化型」があります。

★メリット
・求める特定のスキルセットや経験を持つ人材を見つけるための効率的な手段。
・採用に至るまで費用がかからない。
・母集団形成の手間を削減できる。

×デメリット
・採用が成功した場合の紹介手数料が他の手法に比べて高い。
・母集団の形成などの採用スキル・ノウハウが自社に蓄積されない。

優秀な人材を効率的に採用する手段の一つであることは間違いありません。
しかし、求める人材像を明確に伝えることが出来なければミスマッチも起こり得ます。
また、採用前にしかっりとスキルの確認をぽこないましょう。

ハローワーク

ハローワーク(公共職業安定所)は、厚生労働省が全国500か所以上に設置している総合的雇用サービス機関です。
求人情報だけでなく「職業紹介」のほか、「雇用保険」、「雇用対策」など雇用支援を実施しています。
無料で企業の求人を掲載できる点が最大のメリットです。
子育て中の方が利用する「マザーズハローワーク」や、大学院・大学・短大・高専・専修学校などの学生や、卒業後3年以内の方を対象「新卒応援ハローワーク」などのサービスも提供しています。

★メリット
・無料で求人が出せる。
・地域採用と相性が良い。

×デメリット
・掲載のためには、ハローワークに訪問し、手書きの求人票を作成などの手間がかかる。
・スキルやキャリアをもった人材が少ない。

参照元:厚生労働省「ハローワーク」

Indeed(インディード) 求人検索エンジン

Indeed(インディード)は、世界最大級の求人情報サイト(求人に特化した検索エンジン)です。
Indeedは、企業と求職者を直接つなぐ仕組みで、求職者はIndeedに掲載されている求人情報に直接応募することができます。

無料掲載と有料掲載があり、無料掲載は、アカウント登録をして求人票に記入するだけ求人情報を掲載できます。
有料掲載の料金体系は、求職者にクリックされた回数分の料金が発生するクリック課金型になっています。
また、クリックの単価はオークション制で決定し、リスティング広告と同じ仕組みです。

★メリット
・無料で求人情報を掲載できる。
・職種や勤務地ごとで求人情報を掲載が可能。

×デメリット
・無料掲載の場合、有料掲載の求人情報などに埋もれ表示されにくい。
・定期的な更新などメンテンナンスの手間が必要。

人材採用の流行りや最新トレンド

採用市場では、人材が足りないという問題が深刻化し企業間での人材争奪戦が激化しています。
企業により異なりますが、候補者の経験やスキルなどのマッチング度に重きを置く傾向が強まっています。
依然として「人材紹介(転職エージェント)」や「スカウトサービス」などの外部サービスは利用されていますが、自社の資源を最大限に利用する方法として、自社のウェブサイトやソーシャルメディアを通じた採用(ソーシャルリクルーティング)、または社員の紹介(リファラル採用)などを活用する企業も増えています。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業が主導して自社に適した人材を見つけ出し、直接アプローチする採用手法です。
求人媒体のように受動的な応募を待つのではではなく、効率的に適合する候補者を獲得するための積極的な採用戦略として注目されています。
求人サイトや人材紹介会社を利用した採用活動と異なり、企業が自社の求人情報を直接求職者に伝えることでより精度の高いマッチングが期待できます。

ダイレクトリクルーティングは、企業が自社に適した人材を見つけるための多様な方法があります。

・就職サイトのスカウト機能:これを使うと、企業は求職者に直接メッセージを送ることができます。
・SNSを通じた接触:TwitterやFacebookなどのプラットフォームを通じて、求職者にメッセージを送る方法です。
・専用サイトや人材データベースの利用:企業専用のリクルーティングサイトや人材データベースを通じて、求職者にアプローチします。
・リファラル採用:既存の社員の人脈やネットワークを通じて新たな人材を探す手法です。
・ヘッドハンティング:プロフェッショナルなヘッドハンターを利用して、特定のスキルや経験を持つ人材を直接探します。
・ミートアップや採用イベント:企業が自主的に開催するミートアップや採用イベントを通じて、直接人材を募集します。


これらの手法を適切に組み合わせることで、企業は自社に最適な人材を効率的に探し出すことができます。

ソーシャルリクルーティング

ソーシャルリクルーティングとは、FacebookやTwitter、Instagram、TikTokなどのSNSを活用し企業の情報を発信しつつ、求職者とコミュニケーションを取ることにより採用活動を行う手法です。
SNSの普及により、多様なバックグラウンドを持つ求職者へのアクセスが容易になり、企業の魅力を直接伝えることが可能となっています。
多くの人材と直接交流できること、そして内定辞退防止にも役立つことに加え、自社のブランディングに活用することが可能である点が魅力です。
特に、社風や雰囲気などを表現しやすいSNSは、自社の魅力を効果的に伝えるプラットフォームとなっています。

この方法を採用する際には以下の2点に注意が必要です。
・SNSは情報が埋もれやすいため、投稿は継続的に行う必要がある。
・適切なメッセージングとブランディング戦略が重要なため、これらの要素を考慮した上で運用が必須。

この戦略は、現代の採用活動において欠かすことのできない手法となっています。

★メリット
・無料で実施可能。
・転職潜在層へのアプローチが可能
・ブランディングや認知度アップにもつながる。

×デメリット
・SNSに不慣れな層など特定の層対してのアプローチは困難
・SNSの知識とコミュニケーションスキルが必須
・潜在層へのアプローチになるので、中長期スパンで考える必要がある。

リファラル採用

リファラル採用は、社員やその関係者から優秀な人材を紹介してもらう採用手法で、効率的かつ信頼性の高い方法とされています。
「Referral」は英語で「紹介・推薦」を意味し、この手法は社員が直接友人や知人を勧誘する形を取ります。

自社の社員が職場の雰囲気や企業の魅力を直接伝えるため、候補者は転職後の職場環境を具体的にイメージしやすくなります。
これは離職率を低下させる一方で、自社の採用基準を満たす者のみが最終的に入社するため、縁故採用(コネ採用)とは異なります。

リファラル採用を成功させるには人事部だけでなく企業全体の協力が必要になります。
社員がリクルーターとなるので、会社全体でリファラル採用の文化を理解し、浸透させていく体制を整えなくてはなりません。
しかし、その効果は多くの企業で実感されており、信頼性の高い採用手法として広く認識されています。

★メリット
・社員からの勧誘であるため、転職後のイメージがつきやすく、離職率が低い
・転職市場に出てこない優秀な人材にアプローチできる
・費用がかからない

×デメリット
・魅力的で明確な職場環境にしておかなければ、社員が勧誘をしてくれない
・大量採用が難しい

アルムナイ採用

アルムナイ採用とは、自社を一度退職した人材を再雇用する手法です。(「カムバック制度(採用)」、「ジョブリターン制度(採用)」といわれることもあります。)
企業側は、スキルや企業文化を理解している人材を獲得でき、応募者側も企業文化や業務の進め方について深く理解しているため、ミスマッチが起こりにくく、双方にメリットがある採用方法といえます。
本人からの直接応募や在職時の同僚からの紹介などで入社するケースが多く、採用コストがかかりにくくいのも特徴です。
即戦力のため教育コストがさほどかからないのも魅力の一つです。
※アルムナイ(alumni) alumnusの複数形で、「卒業生、同窓生、校友」の意。 人事領域では「企業を離職・退職した人」のこと。

★メリット
・ミスマッチが起こりにくい。
・採用コストがかりにくい。
・即戦力のため教育コストもかからない。

×デメリット
・アルムナイとの強固な関係を維持が必要。
・魅力的な環境を提供し続けることが必要。
・社内の「退職者」に対するイメージのや感情の管理が必要。
・情報漏洩に対する管理が必要。

ミートアップ

オリジナルの「Meetup」プラットフォームは、共通の興味を持つ人々がオフラインで集まることを目的としています。
このコンセプトを採用活動に応用し、自社のオフィスに求職者を招き、直接会社の雰囲気を体験させ、社員との交流を通じて魅力を伝えるのが採用ミートアップです。
この手法は、自社のブランディングや中途採用の一環として2015年以降増えてきました。
一般的な企業説明会よりカジュアルな雰囲気で行われる採用ミートアップは、座談会や勉強会、交流会の形式をとり、ダイレクトリクルーティングやソーシャルリクルーティングと組み合わせて活用することで、応募意欲が低い層に対してもアプローチが可能になります。

★メリット
・転職潜在層へアプローチできる
・社風が伝わりやすい
・ブランディングとしても有効

×デメリット
・採用に繋がるとは限らない
・企画や集客に手間がかかる
・短期的な母集団形成には向かない

自社採用サイト・オウンドメディア

自社採用サイトは、企業が自身の魅力を直接的に詳細に求職者に伝え、優秀な人材を引き寄せるための重要なツールとなっています。
応募窓口として機能や役割しかもっていなかった時代から、現在は求職者が企業を理解し、志望度を向上させるための重要な情報源となっています。
求人広告と違い、自由なフォーマットで制限なくに情報を発信できる点が最大の魅力です。
弊社の調査では、
・求人媒体から応募する人も含め内定者の94%が『採用サイトをみて応募を決めた』と答えています。※66社721人へのアンケート調査。
・91%以上の採用担当者が採用者のミスマッチが減ったと回答しています。※66社151人へのアンケート調査。(弊社調べ)

このように、求人媒体などの応募のきっかけになっているという側面もあり、他の採用手法との連携により効果を最大化させることが可能なツールです。
昨今では、『採用SNS』『採用動画』や「ミートアップ」「ダイレクトリクルーティング」といった新しい採用手法と組わせてその拠点としての役割も担います。


★メリット
・ミスマッチを減らせる
・自社の独自性や社風を伝えることが出来る。
・情報量の制限がない。
・他の採用手法との連動が自由にでき、相乗的に成果を出しやすくなる。

×デメリット
SEOなど集客から自社で戦略を立てる必要がある。
・コンテンツの更新などの定期的な更新が必要。

採用手法を選ぶポイントと効果的な組み合わせ

採用課題の抽出と把握

採用活動戦略を最適化し成功に導くためには、採用課題の抽出と把握が不可欠です。
各企業ごとにそれぞれ違った採用課題を持っています。
この課題の抽出の精度が悪いと、施策の効果も思うように得られません。

課題の例としては。
・採用コストや担当者の工数の削減
・応募者数の増加
 -認知向上やブランディング
 -母集団の形成
 -母集団の質の向上
・ミスマッチングを減らしたい。
など様々です。

厚生労働省に調査(2015年-2020年)によると、
・必要な職種に応募してくる人が少ない
・応募者の能力評価に関する客観的な基準がない
・採用時の賃金水準や処遇の決め方
という事を課題としているいる事業所が多いようです。

この課題をより具体的にすることにより、施策の選ぶ精度ががあってきます。
この現状把握及び課題抽出は、定期的に見直すことで採用の成功に必要な戦略の最適化が可能になります。


トレンドの採用手法を追求する前に、自社の採用課題を深く理解することが優先されます。
トレンドがすべての企業に適しているわけではなく、全ての課題を解決するわけでもないからです。

例えば、
特定のターゲットへのアプローチ不足が課題であれば、ダイレクトリクルーティングや人材紹介。
採用コストの軽減が課題であれば、ソーシャルリクルーティングやリファラル採用、アルムナイ採用。

のようにに変わってきます。
トレンドを追いかけるのではなく、自社の現状とニーズに適した最善の手法を選び、それを適切に実行することが採用手法を選ぶうえで重要になってきます。

参照元:企業における転職者の採用等に関する課題(厚生労働省)

複数の採用手法を組みあわせて運用する

採用手法にはそれぞれ特徴があり、どれもメリット・デメリットがあります。
どれか一つに特化したり、トレンドだからと取り入れたり、という考え方ではなく、自社の採用スケジュールや課題をデータに基づき抽出し、適切な採用戦略を構築することが重要です。
これには、自社の文化や価値観を明確に伝え、戦略的に「自社の魅力」を「自社にマッチする人材」に対してアピールすることことからはじまります。自社採用サイトの運用を起点に、既存の採用手法や新しい採用手法という視点ではなく、課題を解決する方法という基準で検討することが重要です。
様々な手法を組み合わせることで、相乗的に効果を発揮している企業が採用活動を成功につなげています。

採用代行や採用コンサルティングなどのサービスを利用して専門的な視点を取りいれる

企業の採用活動は、市場動向の理解や自社の採用要件の明確化など多数の複雑な要素が絡み合います。
さらに、自社の採用課題を正確に抽出し解決するには、人事担当者に高いスキルと十分なリソースが必要となります。
しかしながら、人事担当者自身が多岐にわたる業務を担当していることも多く十分なリソースが確保できない場合も少なくありません。

こうした課題を解決する一つの方法として、採用代行や採用コンサルティングなど専門家の力を借りる方法もあります。
採用代行やコンサルティングはプロのノウハウや知見を提供し、企業の採用活動を支援します。
これにより、自社の人事担当者が行う必要のある工数を削減でき、効率的な採用活動の実施が可能となります。
外部の新しい視点をいれることで、大きな前進が出来る可能性は多分にあります。

まとめ:採用トレンドを知り、自社の課題を分析し採用方法を見直そう

かつては、求人広告中心の採用活動を行う企業がほとんどでした。
これは、求職活動を始めた人=ニーズが顕在化して人に対してアプローチする採用手法です。
現在は、労働人口の減少などの事情から、就職・転職の顕在層からのエントリー獲得競争は激化し難しくなります。
また、個人の就職・転職意欲が顕在化したころにはすでに意中の転職先(候補)が決まっているケース多くここからの認知獲得では、タイミングを逸しているという状況になってしまいます。

このように、
・市場の動向や、環境(デジタル化が進んだ世界)の理解
・採用手法やトレンドの理解
・自社の課題の理解とデータ化

この3点を総合して、適切な採用手法の選択していく事が重要です。